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刺青は男の履歴書
2008.07.31 Thu
駆け込みで「イースタン・プロミス」を観てきました。

上映時間100分の中にきちっと収められた男っぽい映画でした。
久しぶりにスクリーンで観たヴィゴがめっちゃカッコよかったわー♪

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舞台はロンドン。アンナ(ナオミ・ワッツ)が助産婦として働く病院に14歳のロシア人の妊婦が運び込まれ、出産後少女は死亡。遺された日記を手掛かりに少女の身元を割り出そうとするアンナは、ロシア語で書かれた日記の翻訳を叔父ステパンに託し、同時に日記に挟まれていた名刺を頼りにロシアン・レストラン”トランスシベリアン”を訪ねる。

店のオーナーであるセミオンは亡くなった少女にいたく同情し、アンナの力になることを約束するが、実はこのおっさんが大変な食わせ者で・・・・。

※以下素晴らしくネタばれしてます。
一部伏字にしたけど全然意味なかったです。すんません。
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なんのこっちゃない、セミオンこそがロシアン・マフィアのボスで”イースタン・プロミス(人身売買)”の黒幕なのでした。ステパンの翻訳によりそのことを知ってしまったアンナはさっそく、少女の故郷の住所を教える代わりにヤバイことが色々と書いてある日記をよこせとセミオンに脅されてしまいます。しかし色々あって少女に過剰な思い入れのあるアンナは取引に応じつつも、「一言いうたらんと気がすまんのじゃ!」と単身でレストランに乗り込み、セミオンの息子キリル(ヴァンサン・カッセル)に噛みついたりします。なんという無謀さ!

アンナも一応セミオンのことはファミリーのボスとしてそれなりに恐れているようなのですが、その息子でいかにもチャラ男なキリルのことは虫けら以下としか思ってないようで、ひざ蹴りのひとつも食らわすんじゃなかろうかってな勢い。実際キリルよりよっぽど漢気があるようにお見受けしましたが、腐っても相手はマフィアの王子。その怒りは警察にぶつけた方がよくないか?と死ぬほどハラハラしました。

そんな向こう見ずなアンナをさりげなく助けるのが、キリルのお守り兼運転手のニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)。その優しさとか諸々のことからもしかしてこのひと?って思ったら、案の定ニコライは”潜入捜査官”で、結局はアンナのことがきっかけで身分がバレてしまい、最後は彼女を助けるために殺されちゃうのかしらん?なーんてベタな想像してしまったけどそうはならなくてよかった!ありがとう、クローネンバーグ監督!ウラー!(ロシア風に)。

というか、ニコライが生き延びることができたのは、ひとえにキリルのナイス・ボンクラぶりが秀逸だったせいに違いありません。マフィアのボスの息子でありながら、ヘタレで単細胞で隠れゲイ(バレバレだけど)のキリルはニコライのことを1ミリも疑ったことがないんでしょうなあ。それこそ惚れた弱みなんだろうけど、ニコライの手の内でころころ転がりまくりのキリルがなんだか可哀想な気がした。彼もまたいつかニコライにハメられちゃうのでしょうか。でもキリルのことを利用しているだけじゃないようにも思う。「こいつアホやけどそんな悪い奴ちゃうし・・・」みたいな。

キリルもまた気の毒な男なんですよ。たぶん優しいんですよねホントの彼は。だから子供のことも殺せないでメソメソ泣いちゃったりして。もっと普通の家庭に生まれていればよかったのに、マフィアの息子として誕生しちゃったのが彼の最大の不幸。

息子はボンクラだけどオヤヂは怖かった・・・。ロシアン・レストランのオーナーの顔だけ見てるとすごくいい人なだけに余計に怖い。彼はうっすらニコライのことを怪しんでたんじゃないかと思うんですが、どうなの?なんか胡散臭いと思ったから、息子の代わりにチェチェン・マフィアに殺させようとしたんだと思うんだけど(捨て駒なら他にもいそうだし)。

それにしてもただ身代りにするだけのために、わざわざニコライをファミリーに迎えて、証である星の刺青いれさせて、サウナでその星目印に殺させようとするってところに監督のサービス精神を感じて仕方ありません。刺青いれるのは判るんですよ、「法の泥棒」(すごいネーミングだ)の人間なら無くちゃおかしいし。でもさーわざわざサウナでってところがさー。サービスしすぎじゃない?ありがたいけど。膝に星の刺青をいれるのは「誰にもひざまずかないことを意味する」ってのはちょっとカッコよすぎ。ソファで横になって刺青を彫られるニコライが色っぽすぎ。

最後、セミオンがいつも座っていた場所にニコライが座っているのはそういうことなんですよね。ニコライは今後どこへ行っちゃうのかなあ(病院に見舞いに来た刑事がニコライの胸の刺青を見て、あちゃーって顔するのがおかしかった・笑)。とりあえず死ぬまでキリルのことは騙し通してやって欲しいと願います。あと、アーセナルサポのチンピラくん。せっかくチェルシー戦のチケット取れて喜んでたのにあんなことになっちゃって・・・。せめて試合が終わった後にしてやって欲しかった。
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

映画 * 19:08 * comments(2) * trackbacks(0)
COMENNTS
こんばんはー!
同じく私も駆け込み組でした。見る前に読んだレビューが100%ヴィゴの男前と色気について語っている感じだったので、かなりドキドキしながら観に行きましたが、本当にステキでしたね~!
ニコライの衣装はアルマーニだそうで、さすがに男前を引き立てる服を知ってらっさるわ~、と思って感心して見てましたが、コートの後ろ姿がどうしてもモウリーニョに見えてしまいました・・・。

>ひとえにキリルのナイス・ボンクラぶりが秀逸だったせいに違いありません
まさにそうデスね!ニコライとしては、実用的にはもちろんですが、気持ちの部分でも「組んだのがコイツでよかった」と思っているのではないかと。

>彼はうっすらニコライのことを怪しんでたんじゃないかと思うんですが
おおおっ!これはさらに怖いですね!セミオンとニコライとの駆け引きもすごく面白そうに思えてきました。そういう観点で考えてみるとこのあたりはややアッサリでしたよね。●●モノ(伏せてみました)としてはちょっと物足りないところかもしれません。

>ニコライは今後どこへ行っちゃうのかなあ
ここが曖昧なところがとっても魅力的だと思いました。私もキリルのことは騙しとおしてほしいと思います。お互いセンチメンタルですな(笑)!

それでは、ダスビダーニャ!
波子 * URL * 2008.08.03 Sun * [ 編集]
波子さん、ドヴィリィヴェーチェル!!
(まだバカンス中でしょうか)。

私が観た時はすでに朝一の回でしかやってなかったんですが、早起きして観てよかったです。ヴィゴ、ステキでしたーん(はあと)。ロシア語なまりの英語がまた色っぽかったですな!

>アルマーニ
モウリーニョ!(笑)。咥えタバコで死体を解剖するニコライの背中とお尻のラインが美しすぎました。ホントに≪流石はアルマーニ≫ですよね~♪彼は男性の身体を知り尽くしていらっしゃる(笑)。それも中身あってのものですが、ヴィゴはきちんと整えてましたね~。私は最前列で観たんですが、どうこらえても自然と顔がゆるみました。うひひ。

キリルは最初すごいウザくて、なにこいつ!なんて思いながら観てたんですが、時折見せる素の顔がなんだか憎めなくて(ワインセラーのシーン、いいですよねー)。「子供を始末しろ!」と言われて思いついたのがあの場所ってのが、またなんとも可哀想というか萌えるというか(笑)。

>私もキリルのことは騙しとおしてほしいと思います。

少なくとも酷い裏切り方はしないんじゃないかと、勝手に思い込んでいます(笑)。

>お互いセンチメンタルですな(笑)!

お互いにいつどう転んでもおかしくない関係にいちいち萌えるのは女子の特権かと思ってましたが、この世界を作ってるのはみんな男性なんですよね。おセンチ加減では男子には敵わんってことでしょうか(敗北感)。

男子と言えばアンナの伯父さんもけっこう好きです。頑固で正義感が強くて。アンナとはしょっちゅう喧嘩してましたけど、あの二人似てますよね(笑)。
ちあき * URL * 2008.08.10 Sun * [ 編集]
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